障害報酬改定で専門職加算併給を容認 生活介護の質向上へ

2023年1218 福祉新聞編集部

厚生労働省は2024年度障害報酬改定で、日中活動の障害福祉サービス「生活介護」について、専門性の高い人材を配置することを評価する「福祉専門職員配置等加算」の算定ルールを見直す。

 

現在、職員のうち社会福祉士など国家資格保持者が占める割合や、勤続3年以上の職員が占める割合に着目した三つの区分があり、いずれか一つを算定できる。併給は認めていないが、24年度改定では認める方針だ。

 

サービスの質を適正に評価し、底上げを図る狙い。現行ルールでは、国家資格を持つ職員の勤続年数が考慮されず、不合理だとして併給を認めるよう求める声があった。

 

6日の障害報酬改定検討チームで見直し案を示した。アドバイザーはこれを支持し、他の障害福祉サービスでもこの加算の併給を認めるよう求めたが、厚労省は生活介護に限ると回答した。

 

併給を認める背景には、財務省の意向がある。生活介護をめぐり、営利法人が社会福祉法人と比べ、非常勤や経験年数の少ない職員を雇い、給与を抑えて収支差率を高くしていることが審議会で問題視されていた。

 

同審議会は、現在の生活介護の基本報酬が利用時間ではなく、事業所の営業時間によって設定されている点も問題視。体調不良などから利用時間が短い人がいても営業時間に沿って高い報酬を得ているのではないかとみている。

 

これを踏まえ、厚労省は利用時間に沿った報酬体系に改める方針を9月に表明。安定して通うのが難しい利用者の多い事業所から収入減を懸念する声が上がる中、加算の併給容認案が浮上した。

 

生活介護は利用者数が約30万人で、22年度の費用総額は8322億円。障害福祉サービスの中心的なサービスで、利用者の約7割が知的障害者だ。