アルコール依存症セミナー つながりやすい社会に〈寿アルク・横浜市〉

2025年0710 福祉新聞編集部
開会のあいさつをする山田勝昭統括施設長

アルコール依存症者の通う障害福祉サービス事業所を運営するNPO法人「市民の会寿アルク」(三浦保之理事長、横浜市)は6月24日、依存症からの回復手法を伝える「ステップセミナー」を市内で開き、他法人の施設利用者ら約330人が参加した。

依存症の自助グループで用いられる「12ステップ」というプログラムの理解を深めてもらうことが狙い。日ごろ、体系的に学ぶ機会がない人にも分かるよう、同法人の6人の施設長が自身の依存症回復の経験を語り、ステップの意味を伝えた。

例えばステップ4のテーマは「自分自身の棚卸し」。飲酒が止まって16年たつという男性施設長は「ノートに過去のことを書こうとしたが、つらい経験ばかり思い浮かんだ。1文字書くたびに泣いた」と振り返った。

「何をすればいいか分かるまで5~6年かかった。一緒に回復を目指す仲間とのつながりが導いてくれた。言葉ではなく、態度で私の欠点を教えてくれた。今はとても楽になった」と明かし、生き方を見つめ直すことの効果を紹介した。

同法人は1993年11月10日にデイケアセンターを開設。現在は就労継続支援B型事業所、生活訓練事業所などを運営する。回復支援施設を知らず、苦しむ依存症の人が多くいるとみて、12ステップに関する対外的なセミナーを初めて開いた。

三浦理事長は「SNSの発達により、依存症関連の情報は得やすくなったが、それで分かったつもりになるのはよくない。人や回復支援施設につながることが大切であり、そういう社会になるようこれからも発信していく」としている。