障害者ら「超短時間雇用モデル」シンポジウムに3首長登壇〈東京大学先端研〉

2025年0825 福祉新聞編集部
新モデルは近藤教授(左端)が提唱している

東京大先端科学技術研究センターは7月25日、ENEOSホール(東京都目黒区)で、障害のある人らが一般企業などで短い時間だけ働く「超短時間雇用モデル」をテーマにしたシンポジウムを開催した。自治体の首長が参加し、新たなモデルを通じたまちづくりなどについて語った。

超短時間雇用は、障害や疾患のある人が週に最短15分から企業で働くモデル。東京大先端研の近藤武夫教授が2016年度から川崎市で始め、現在7自治体に広がった。

シンポジウムには超短時間雇用を採用している柴橋正直岐阜市長、森澤恭子品川区長、長谷部健渋谷区長が登壇した。

岐阜市では障害者の就労調査で、仕事をしていない人の4割が働きたいと回答。そのため就労を土台としたまちづくりに向け、22年から超短時間雇用を取り入れた。中間支援は社会福祉法人が担い、仕事の切り出しやマッチング、定着支援など幅広く実施。50人以上の採用につながった。柴橋市長は「社会に貢献する企業は今後も社会から選ばれ続ける」と話し、今後も官民連携を進める考えを強調した。

また、品川区では24年度に1000万円の予算を計上して超短時間雇用を開始。25年6月までに59社が登録し、15人の採用につながったという。森澤区長は「超短時間雇用は何らかの事情で長時間働けないという人が排除されているという問題意識がある」と狙いを話した。

7年前から開始した渋谷区では計30人以上の採用につながった。働く場所は公衆浴場や洋菓子店など14カ所に上る。今後に向けて長谷部区長は「楽しく働く人たちの成果を共有できれば」と語った。

超短時間雇用を進めてきた先端研の近藤教授は、超短時間雇用の実施にあたっては同じ場所で共に働くという要件があると強調。「地域に新たな働き方を生み出すことで、インクルーシブな社会につながれば」と訴えた。

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