療育手帳を全国統一 厚労省が検討会設置の方針

2025年0710 福祉新聞編集部

厚生労働省は知的障害児・者の療育手帳の統一化に向け、検討会を設ける方針だ。現行では自治体ごとに運用されているため、統一化により不利益が生じないよう関係者の意見も聞いて議論する。6月26日の社会保障審議会障害者部会(座長=菊池馨実早稲田大理事)で了承を得た。

療育手帳は法的な位置付けはなく、自治体ごとに運用されているため、名称や判定方法、認定基準が異なる。判定区分は2~7と開きがあり、IQの上限値や更新期間にもばらつきがある。そのため、手帳を持つ知的障害児・者がほかの自治体に転居すると判定が変わり、これまでのサービスが受けられなくなる問題が生じている。

2022年6月の同部会報告書は、療育手帳の統一化を目指して調査研究を推進するよう言及。22~24年度に行われた調査研究では判定ガイドランを策定し、療育手帳の交付判定のための知的機能、適応行動の評価尺度「ABIT―CV」を開発した。世界保健機関の「ICD―11」(国際疾病分類第11版)の基準を満たし、簡便にできる検査ツールで、知的機能検査は127問、適応行動検査は220項目。26年度からモデル自治体で試行する予定。

同日の部会では、療育手帳の法制化を求めてきた全国手をつなぐ育成会連合会の佐々木桃子委員が、改めて全国統一的な判定基準の導入を要望。「判定基準の統一化は知的障害を定義することにつながるため、知的障害者福祉法における知的障害の定義や療育手帳の位置付けも検討してほしい」と発言した。