点字版「選挙公報」 参院選前で作業繁忙〈日本盲人福祉委員会〉
2025年07月14日 福祉新聞編集部
日本盲人福祉委員会(竹下義樹理事長、日盲委)は国政選挙の際、候補者や政党の政見を紹介する選挙公報を「選挙のお知らせ」として点字、音声、拡大文字の3媒体を製作し、視覚障害者に届けるプロジェクトを行っている。
7月上旬、プロジェクトに参加している東京都新宿区の日本点字図書館(長岡英司理事長)を訪ねると、20日に投開票される参議院議員選挙の点字版選挙のお知らせの製作に追われていた。
プロジェクトに参加している点字出版施設は同館を含めて23カ所。今回の参院選では47都道府県の選挙管理委員会から約4万6000部の注文があり、19カ所が都道府県ごとに担当して製作している。
選挙区は各担当施設が各選管に選挙公報を送ってもらい、点訳・校正、製版・印刷する(一部点訳・校正のみの施設あり)。比例区は同館が各政党に選挙公報を送ってもらい、点訳・校正してマスターデータを作って各担当施設に送付し、製版・印刷する。
一連の作業では速さと正確さが求められる。同館の澤村潤一郎図書製作部長は「各政党の担当者と事前に連絡を取り、選挙公報の審査が終わったら公示日より前に1日でも早く送ってもらうようお願いしている」と話す。
今回の参院選では音声版の注文は選挙区、比例区合わせて約2万9000枚あり、50施設が分担して製作。拡大文字版は約7200部の注文を日本視覚障害者団体連合が担当している。
納品先から個人宅に送られる時間も見越して作業を急いでいるが、視覚障害者の手元に届くのが選挙日の数日前になってしまうことも少なくない。
それでも「視覚障害者の参政権を保障する仕事」(澤村部長)と自負し、視覚障害者に選挙情報を提供するために尽力している。