大麻使用罪を創設 改正取締法が成立 治療薬などの使用を可能に

2023年1216 福祉新聞編集部
参考人として意見を述べる丸山教授(手前から2人目)

大麻取締法、麻薬及び向精神薬取締法の一括改正案が6日、参院本会議で自民、公明などの賛成多数で可決、成立した。大麻の使用罪を創設するほか、大麻草の成分を含むてんかん治療薬などの使用を可能にする。施行は公布日から1年以内。

 

大麻の不正使用者が安心して相談できる体制づくり、治療や回復につなげる仕組みづくりを政府に求めることなどを盛り込んだ付帯決議が衆参両院でそれぞれ採択された。

 

法案は厚生労働省が提出した。改正麻薬取締法は、大麻とその有害成分「THC」を麻薬と位置付けた。不正使用した場合、7年以下の懲役になる。

 

使用罪創設の背景には、若者を中心とした不正使用の広がりがある。これまで不正な所持や栽培は禁じられていたが、使用は規制されていなかった。

 

罰則を設けて禁止することが不正使用の抑止につながるとする政府に対し、生きづらさを抱えて孤立した不正使用者には抑止力にならず、むしろ追い詰めるとする見方もある。

 

11月30日の参院厚生労働委員会で参考人の丸山泰弘・立正大教授(刑事政策)は後者の立場で「科学的根拠によれば、(大麻の)問題使用を減らせるのは刑事罰ではなく、教育と福祉と社会保障だ」と唱えた。

てんかん治療に活用も

このほか改正大麻取締法により、大麻草を原料にした難治性てんかんの治療薬が国内でも解禁される見込み。これまで海外で使われていた治療薬の活用を望む声があった。

 

11月10日の衆院厚生労働委員会で、田所裕二・日本てんかん協会理事は参考人として「私たちは日本に生まれたことが不幸にならないようにと活動してきた。治療効果を国のルールで証明されたものを、必要な人に届けてもらいたい」と述べた。