「GHも施設と同じ」国連権利委務める知的障害のマーティンさんが講演
2023年10月28日 福祉新聞編集部知的障害者として初めて国連障害者権利委員会の委員を務めているロバート・マーティンさん(66・ニュージーランド)が来日し、10月17日に衆議院第二議員会館で講演した。マーティンさんは家族と離れ入所施設で暮らした経験を踏まえ、「施設で暮らすと地域の一員でなくなってしまう。その点ではグループホーム(GH)も同じだ」と話した。
昨年9月、国連障害者権利委員会は、障害者が施設ではなく地域での暮らしに移行するよう日本政府に勧告した。日本ではGHでの暮らしも「地域生活」とされてきたが、マーティンさんはその見方を否定した。
障害があることを理由に、どこで誰と暮らすかを選べないことが問題だと強調し、共同生活する人数の多い、少ないが問題ではないことを印象付けた。
集会はDPI(障害者インターナショナル)日本会議(平野みどり議長)などが主催した。
超党派の「国連障害者の権利条約推進議員連盟」の笹川博義事務局長(自民)ら複数の国会議員も出席した。
マーティンさんは1957年生まれ。国際的なセルフアドボカシー運動を展開し、2020年にはSir(ナイト)の称号を授与された。昨年夏の対日審査にも委員として参加した。
日本では現在、知的障害者ら約12万人が入所施設で、約17万人がGHで暮らしている。勧告を踏まえ、厚生労働省は24年度の障害報酬改定で入所施設の定員を減らすこと、GHから1人暮らしに移すことを促す方針だ。