障害報酬改定で就労系は「成果主義」強化 A型の5指標見直し

2023年1021 福祉新聞編集部

厚生労働省は2024年度の障害報酬改定に関連し、就労系サービスは利用者に支払う賃金や工賃が高い事業所ほど高い報酬を得る「成果主義」を強化する方針を固めた。就労継続支援A型事業は、五つの評価指標のうち「生産活動」の比重を大きくする。利用者の稼ぐ力を成果で示せない事業所の報酬は下げる方向で検討する。

 

10月11日の「障害福祉サービス等報酬改定検討チーム」に示し、アドバイザーから大筋で賛同を得た。年末に向けて詳細を詰める。

 

現在、A型事業は五つの評価指標の合計点に基づいて報酬に濃淡をつけている。労働時間が長いこと(例・1日7時間以上)や、生産活動収支が利用者への賃金の総額を上回ることの2点を重視しているが、24年度改定ではこの2点をより重視した報酬設定にする。

 

一般就労できるよう知識、技能の向上を支える取り組みも新たに評価する。一方、短時間勤務など「多様な働き方」を認めることも5指標の一つだが、この指標による点数は低くする。

 

A型事業は、生産活動による収支から利用者への賃金を支払うことが指定基準で定められている。しかし、それを達成できない事業所が全体の半数超に上ることが、かねて問題視されていた。

 

厚労省はそうした未達成が数年続いた事業所への報酬を下げる方針。これにより撤退する事業所が続出し、行き場のなくなる利用者が生まれることを危ぶむ声がアドバイザーから上がった。

B型も高工賃を評価

就労継続支援B型事業も、事業所が利用者に支払う工賃の平均月額に応じた報酬の区分にメリハリを付ける。

 

B型事業所の工賃は全国平均で月額1万6507円。事業所が得る報酬は、その事業所の平均工賃に応じて8区分ある。現在は平均工賃が最も低い「月額1万円未満」の区分に当たる事業所が最も多く、全事業所の3割弱を占める。この区分の事業所は増えている。

 

また、働くことよりも社会参加を重視するタイプのB型事業所には、平均工賃に左右されない一律の低い報酬を設定しているが、この「参加型B型」も増え、収支差率も比較的高いという。

 

高い工賃を支払えないB型事業所が増える傾向に歯止めをかけたい厚労省は、平均工賃の高いB型事業所の報酬をより高くする考えだ。また、利用日数の少ない障害者を多く受け入れる事業所が平均工賃の計算上不利にならないような仕組みにするため、新しい算定式を導入する。