〈新任局長に聞く〉「こども誰でも通園」に全力 中村英正こども家庭庁成育局長

2025年0913 福祉新聞編集部
中村局長

――就任の抱負を聞かせてください。

「常にこどものために、時にはこどものように」がモットーです。若い組織ですが、過度に失敗を恐れず果敢に政策課題に対応していきたいです。

――成育局の目下の政策課題は。

来年度から全市町村で始まる「こども誰でも通園制度」は「こどもまんなか」に向けた大きなステップであり、円滑なスタートを切ることが目下の課題の一つです。利用時間や補助単価などさまざま意見がありますが、施行後も議論を重ねて制度改善を図っていきたいと思います。

――待機児童解消が進んでいます。少子化が加速する中、保育施策の在り方をどう考えますか。

昨年12月に公表した「保育政策の新たな方向性」を実装に移す局面です。都市部と過疎地域でだいぶ様相が違っていますので、大きな目標を掲げてそこに向けて進んでいくというよりは、これからは地域ごとの課題にきめ細かく支援していくことが大事になってくるでしょう。

――保育制度の抜本的な見直しも必要でしょうか。

今後、そうした方向の議論になっていくことも考えられます。なかなか難しいですが、避けてはいけない課題だと受け止めています。

――人口減が顕著な地域の保育機能の維持は喫緊の課題です。

地域によって保育サービスが受けられないようなことがあってはいけません。地域の実情に応じた統廃合や多機能化をどう進めていくのか、補助金の扱いなども当然論点になってくると思います。時期は明言できませんが、オープンの場で議論して方針を示せればと考えています。

――保育士確保が厳しさを増しています。

地域限定保育士の一般制度化など対策を講じていますが、全国でおよそ115万人いると推計される潜在保育士に保育現場で実際に活躍してもらうことも重要です。各地の保育士・保育所支援センターが保育士の登録情報を把握でき、プッシュ型支援につなげられるような仕組みを検討したいです。

また、保育士の処遇改善として国家公務員給与に準拠した人件費の上昇分の予算はきちんと確保していきたいです。

――保育所、こども園、幼稚園で指針・要領が別々で一本化を求める声もあります。

指針・要領の改訂時には文部科学省と連携して一層の整合性の確保を図っていきます。一本化は選択肢の一つだとは思いますが、一番大事なのは指針・要領の内容が共通であり、どの施設に行っても質の高い保育、教育が担保されていることです。


なかむら・ひでまさ 1967年生まれ。スイス出身。東京大卒。91年4月、旧大蔵省入省。

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