高額療養費、自己負担増なら悪影響 厚労省専門委で学識者
2025年09月09日 福祉新聞編集部
医療費の患者負担を抑える「高額療養費制度」に関連し、負担上限引き上げの是非を議論する厚生労働省の専門委員会(座長=田辺国昭東京大大学院教授)は8月28日、学識者を参考人として招き、意見聴取した。
4人の参考人の一人、康永秀生東京大大学院教授は医療費適正化をめぐるこれまでの実証研究の成果を紹介し、高額療養費の自己負担引き上げについて「特定の患者層の受診抑制・治療中断による健康への悪影響を否定できない」とした。
特定の疾患のある患者層や低所得者層は特に影響を受けやすいとし、「一律の引き上げは正当化されにくい。特段の配慮が必要だ」と述べた。
政府はこの制度の見直し案を今秋までにまとめるとしており、専門委は議論を急ぐ。
高額療養費制度は、患者の自己負担額が高くなった場合、年収に応じた上限額を超えた分を医療保険制度で払い戻す仕組み。当初の見直し案は今年8月から3回に分けて自己負担の上限を引き上げるものだったが、政府は患者団体の反対の声を受けて全面凍結した。