介護保険事務、広域で 総務省研究会が報告
2025年07月19日 福祉新聞編集部
総務省の「持続可能な地方行財政のあり方に関する研究会」(座長=山本隆司東京大大学院教授)は6月24日、市町村が担う介護保険事務の一部を広域で行うことを提言した。
同日公表した報告書は、要介護認定(1次調査、認定審査会)は専門人材の確保が困難なこと、介護サービス事業者に対する指導は件数の少なさから、ノウハウが蓄積されないことが課題だとした。
要介護認定は「広域で取り組むことが有効」とし、事業者への指導は大都市や都道府県が行うこと、民間法人に委託することが効果的だとした。
市町村職員の確保が今後さらに困難になる半面、単身高齢者の孤独・孤立対策、認知症対策、ヤングケアラー支援など市町村事務が増大する現状を踏まえ、個別の事務ごとに見直しをするよう、それぞれの所管省庁に求めた。
提言の対象となる市町村の事務は温暖化対策、道路、上下水道、鳥獣被害対策など幅広いが、問題意識が強い分野は介護と福祉サービスだ。小規模な市町村ほど、その事務の占める割合が高いとみている。
例えば、養護老人ホームについては、市町村が担う措置費の改定作業の負担が重いことを指摘。その負担を減らす方法として、都道府県が措置費の標準的な基準を設定することを例示した。
政府は住民に身近な行政はできる限り市町村が担うよう地方分権を進めてきたが、報告書は「これまでとは異なる新たな視点により、行政サービスを見直すことが求められている」と結論づけた。