ウクライナ高齢者を支援する会、現地へ介護用品など 

2025年0901 福祉新聞編集部
支援する会の総会=8月16日、板橋区立文化会館

戦禍に苦しむウクライナの高齢者らに健康維持用品などを贈る「ウクライナ高齢者を支援する会」の総会が8月、都内で開かれた。首都キーウのNGO団体「パトリオット」からオンラインで感謝のメッセージが届いた。

「支援する会」は医師や大学教員らが呼び掛け人となって2023年に設立。寄付を募り、昨年7月時点で121人から計約281万円が集まった。在日ウクライナ人のコミュニティーであるNPO「日本ウクライナ友好協会KRAIANY」の協力で、高橋龍太郎代表世話人(元東京都健康長寿医療センター研究所副所長、老年内科医)ら2人が昨年10月、レッグウォーマーやザーネ軟こう(クリーム)を空襲警報や対空砲のとどろくキーウへ運んだ。

また、今年2~5月に計148万円をパトリオットへ送金。大人用おむつ、全身清拭用タオルなど衛生用品を現地で購入し、団体のメンバーが交戦地に近いザポリージャ、ミコライウなどの治療クリニックや高齢者介護施設、障害者らへ配った。

総会では高橋代表世話人が参加した約30人を前に、戦争による心的後遺症などに触れながら「もう1年は活動を続けようと思う。平和とは祈るものではなく、働き掛けるものだと実感した」と述べた。

会場には在日ウクライナ人3人が出席。22年に日本に避難してきた母と共に参加した滞日18年の英語教師、オレーナ・スビドランさん(41)=埼玉県在住=は「日本には1937人(今年7月末現在)のウクライナ避難民がおり、仕事を見つけるのは難しい。でも、現地の高齢者はもっと苦しい生活をしている」と目を潤ませ訴えた。

また、パトリオットのマリア・ベラさんは難民児童支援活動中のロンドンからオンラインで「現地はおむつなど介護用品が足りない」と話し、支援への感謝を述べた。支援する会はこの秋にも寄付金を送りたい意向で、高橋代表世話人は「戦況次第だが、現地で高齢者と交流してみたい」と話している。

総会では小泉悠東京大先端科学技術研究センター准教授が「ウクライナ戦争~その背景と今後」と題し講演。「戦争の陰で生きた人間のことは見過ごされがち。その記録は大切」と活動を評価した。

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