精神科病院、スマホ自由が望ましい 事例集め全国に通知〈厚労省〉

2025年0415 福祉新聞編集部

入院患者に携帯電話やスマートフォンの使用を一律に制限する精神科病院がある問題を受け、厚生労働省は3月31日、「基本的には入院患者が可能な限り、携帯電話などを自由に使用できることが望ましい」とする見解を都道府県・指定都市に通知した。一方、一律制限を戒める文言は明記しなかった。

現在でも入院患者が院外と通信することは原則自由で、病院は合理的な理由がある場合に限って患者の電話使用を制限できる。

その規定(厚生大臣告示第130号)は、携帯電話の普及していない1988年に定めたもので、スマホが通信手段に当たるかあいまいだった。

今回の通知には、スマホ使用を可能だとする8病院にヒアリングした結果も添付した。「スマホを使う場合の場所、時間といった条件」「スマホやコード類(充電器)を誰が管理するか」「患者への説明方法」につき、各病院がそれぞれどうしているかを明示した。

スマホによって他の患者を撮影しプライバシーを侵害したり、患者本人の睡眠が悪化したりする問題があるとした一方、人間関係を維持しやすくなり患者の安心感につながるといった効果も並べた。

この問題をめぐっては、精神障害の当事者団体が2024年、独自に調査し、患者のスマホ使用を一律に制限する例が発覚。この団体が同6月、厚労省に全国規模の調査をするよう申し入れ、12月には国会でもこれに関連する質疑があった。

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