20代の障害者68%が就労 一般と12ポイント差(厚労省調査)

2023年0720 福祉新聞編集部

 20代で視覚や歩行などに機能制限のある人のうち68%が働いていることが7月4日、厚生労働省の2022年国民生活基礎調査で分かった。機能制限のない20代の就労率は80%で12ポイントの差があった。機能制限のある人を障害者とみなし、そうでない人と比べることが初めて可能になった。

 

 障害福祉サービスの就労継続支援A型、同B型の利用者も働いている人と算定した。65歳以上の就労率は障害者が15%、そうでない人が33%で約2倍の差があった。

 

 従来、障害者に限った就労状況の統計はあったが、一般と比較できる統計はなかった。超党派の国会議員による議連が、回答者の障害の有無を区別して集計できるよう政府に見直しを求めていた。
6項目で機能制限調査

 

 今回の調査では視覚、聴覚、歩行、認知(例=思い出す)、セルフケア(例=衣服を着る)、コミュニケーション(例=人の話を理解する)の6項目について、「苦労なし」から「全くできない」まで4段階で機能制限の度合いを尋ねた。

 

 この質問の対象は6歳以上。福祉施設の入所者や長期入院者らは対象から外した。報告書は6項目のうち一つでも「とても苦労する」「全くできない」と回答した人を「日常生活に機能制限がある人」とした。

 

 この人たちを仮に障害者とすると、歩行については回答者の約7%が、それ以外の5項目は3~4%が障害者だった。

 

 就労状況と学歴については、障害者とそうでない人を比較できるようクロス集計した。世帯の所得など他の調査項目とのクロス集計を希望する場合、厚労省の政策統括官付審査解析室に申請すればデータ提供される。

 

 同調査は3年に1度大規模な調査をすることとされ、今回は13回目の大規模調査。22年6月に約30万世帯を対象に実施した。

 

 障害者の就労問題に詳しい松井亮輔・法政大名誉教授は本紙の取材に「障害の有無による格差を確認する上で良いデータが取れた。これをもとに国際比較するなどして、政策立案に生かすべきだ」と話している。

 

福祉新聞の購読はこちら