期間設定し更新可能に 成年後見制度見直し試案で意見募集

2025年0709 福祉新聞編集部

成年後見制度の見直しを進めている法務省は6月25日、法制審議会でまとめた中間試案についてパブリックコメント(意見公募)を始めた。利用し始めると判断能力が回復しない限り止められない現行の仕組みを改める方針。現行通り期間を定めない案のほか、家庭裁判所が期間を定め、更新がない限り終了する案や、後見の要件がなくなったときに終了する案を示した。

8月25日まで意見を受け付ける。それを踏まえて審議を重ね、2026年の通常国会に民法改正案を提出したい考えだ。

後見人には広い取消権、代理権が付与され、同制度を利用する認知症高齢者や知的障害者の自己決定が制限されすぎることが問題視されていた。

弁護士や社会福祉士といった第三者が後見人となり、財産などを管理することが多いものの、後見人が不正を働いたり、利用者本人と意見が食い違ったりしても解任(交代)するのが難しいことも問題だとされてきた。

そこで中間試案は、現行の解任事由(不正な行為、著しい不行跡)を維持する案のほか、本人の利益のために特に必要がある場合に備え新たな解任事由を設ける案を挙げた。

後見制度は2000年にスタートし、現在の利用者は約25万人。認知症高齢者が増えているにもかかわらず利用が進まないのは、制度が使いにくいからだとみられている。

法務省は24年2月、法制審議会民法部会で検討を開始し、6月10日に中間試案をまとめた。