車いす送迎車の事故、委員会が再発防止へ調査〈消費者庁〉

2025年0814 福祉新聞編集部
衝撃が加わる自動車内のイメージ(消費者安全調査委員会資料より)

消費者庁の消費者安全調査委員会(委員長=中川丈久神戸大学大学院教授)は7月29日、車いすのまま乗れる自動車で、衝突や急ブレーキによって車いす利用者が転倒し、死亡する事故の再発防止のため調査を開始すると発表した。

事故の実態を把握したり、関連業界が行っている取り組みを収集したりする。車いすを積載できる自動車は介護現場などで送迎に利用されており、主に高齢者や障害者が被害を受ける。

同委員会によると、自動車、車いす、送迎サービスといった複数の製品・サービスにまたがる事故であることから、現在は網羅的な事故情報やその統計、事故原因の分析がない。行政による総合的な安全対策もないという。

事故は20年以上前から発生し、同委員会は今年だけで3件把握している。安全に送迎するには自動車が車いすを固定できる設計になっていること、車いすが衝撃に耐えられる強度を持つこと、シートベルトを適切に装着できることが求められるとし、同委員会はそうした製造の実態になっているか点検する。

同委員会は消費者安全法に基づき、2012年10月に発足。委員は内閣総理大臣が任命する。生命・身体分野の消費者事故の原因を調べ、関係省庁に意見具申する権限を持つ。

発足からこれまでに手掛けた案件は24件で、1件当たりの調査期間は平均20カ月に及ぶという。

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