ケアラー支援法制化を 15周年記念イベントで改めて決意〈日本ケアラー連盟〉
2025年07月02日 福祉新聞編集部
ケアラー(無償で家族の介護や世話をしている人)支援の法制化に向けて活動している「日本ケアラー連盟」の15周年記念イベントが5月25日、都内で開かれ、約100人が参加した。連盟は2010年6月に発足。会員は約180人・団体。基本方針に介護される人、する人の人生がともに尊重されることなどを掲げ、これまで全国5カ所のケアラー調査、ケアラー手帳の発行、政策提言などに取り組み、自民党ケアラー議員連盟にも協力している。
この15年間で、埼玉県など33自治体がケアラー支援条例(18歳未満のヤングケアラー支援含む)を制定。24年6月にはヤングケアラー支援を自治体の努力義務とする改正子ども・若者育成支援推進法が成立した。
連盟の代表理事の一人、牧野史子NPO法人介護者サポートネットワークセンター・アラジン理事長は「説明しなくてもケアラーという共通言語を使えるようになったことは感慨深い。ケアラー支援の機運が高まっているこの機に一気に法制化実現に向けてかじを切りたい」と改めて決意を示した。
同日示された政策提言案では、認知症基本法などに家族支援が定められているが、個別法だけでは制度の隙間ができてしまうため、総合的、横断的な支援体制をつくるケアラー支援推進基本法(仮称)を制定することなどを掲げた。
パネルディスカッションでは北海道栗山町、京都市、神奈川県藤沢市が、条例化の取り組みなどを報告した。栗山町は約30年に及ぶ福祉のまちづくりが土台となり、調査で約5500世帯の18%にケアラーがいることが分かり、21年4月に条例が施行された。佐々木学町長は「条例化により財源的裏付けができ、施策がスムーズに進められるようになった」と話した。