5類移行でコロナ前の日常に一歩 保育士の脱マスクなど対策緩和

2023年0518 福祉新聞編集部
5類移行を機にマスクを外す保育士

 新型コロナウイルスの感染症法上の位置付けが5月8日、インフルエンザと同じ5類に移行された。これを機に脱マスクを決めた保育所もあり、保育現場ではコロナ前の日常に一歩ずつ近づく光景が見られた。

 

 東京都台東区の社会福祉法人康保会「康保会乳児保育所」(遠藤正明園長)では同日、保育士らが3年以上ぶりにマスクなしで保育に臨んだ。

 

 3月13日から、保育士のマスク着脱は個人の判断に委ねられているが、着用を継続してきた。看護師と話し合い、暑さが本格化する前で5類に移行する8日から職員は原則マスクを外す方針を決定した。

 

 保育士の孤食も改め、複数人での食事も解禁し、アクリル板も撤去。週2日実施していた抗原検査も中止した。消毒液の設置や登園時の園児、職員の検温は続けている。

 

 遠藤園長は「各保育士が自身の体調と向き合い、マスクの着用が必要だと判断すれば付ける。これまでの経験を生かし、柔軟に対応していってくれるはず」と、共にコロナ禍を乗り越えてきた職員に信頼を寄せている。

 

 一方、職員の多くがマスク着用を継続する保育施設もある。群馬県伊勢崎市で認定こども園2カ所を運営する社会福祉法人植竹会はマスク着脱を保育教諭個人の判断に委ねており、7~8割は着用を続けている。ゆたか第二保育園の島田峰子園長は「特に若い保育教諭はマスク着用が当たり前になっており、花粉症もある。夏場になれば分からないが、すぐには変わらないかもしれない」と話す。

 

 ただ、地域交流や園の行事はコロナ前の光景に近づけたいとしている。行事に参加する保護者に求めてきた対応(人数制限など)は撤廃し、おおむねコロナ前の運用に戻す。自法人が運営する介護施設で暮らす高齢者と園児との対面交流は、6月までに屋外で再開させる方針だ。

 

 国は5類移行に併せ、保育所における感染症対策ガイドラインを一部改訂した。感染対策は政府として一律に求めることはなくなり、「個人の選択を尊重し、自主的な取り組みをベースとしたもの」として情報提供していくことなどが示された。

 

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