家庭養育の徹底へ 児童養護議連が里親の充実など提言
2025年06月12日 福祉新聞編集部
超党派の「児童の養護と未来を考える議員連盟」(長島昭久会長)は5月14日、家庭養育の徹底に向けた抜本改革を求める提言を取りまとめた。こども家庭庁に提出する予定。施設養育について、乳児院は新設の中止と機能転換を、児童養護施設は老朽化の建て替えを含めユニット化支援の停止と地域分散型小規模施設への早期転換を求めた。
里親委託率の目標値を定め、児童相談所を設置する自治体が策定する都道府県社会的養育推進計画(2025~29年度までの5年間)をめぐって、およそ半数の自治体が国の数値目標(乳幼児の里親委託率75%以上、学童期以降50%以上)と同等ないしそれ以上の数値を掲げる。
ただ、提言では里親委託率が伸び悩んでいる現状などを踏まえ、「国による家庭養育支援の強化や施設改革の加速化などの抜本的な政策変更や実施強化策がなければ、5年間で数値目標を達成することは絶望的と言わざるを得ない」と危機感を表明。同計画が未達成に終わることは、社会的養育が必要なこどもたちが「家庭養育の下での愛着形成の恩恵に浴することができないことを意味する」などと強調した。
提言内容では、一時保護を専門に扱う緊急里親や、乳幼児を専門とした「乳幼児ファミリーホーム(仮称)」を法制度化するなど家庭養育を強力に推進するよう訴えた。
一方、児童養護施設などの入所施設は、トラウマやアタッチメントの問題など高いケアニーズを抱えたこどもを対象に、高度な治療的養育と精神・心理療法を提供し、こどもが里親による家庭養育を受けられることを可能にする専門機関とならねばならないとした。
その上で、こどもの多様なケアニーズに応じた措置費、委託費の創設を要望。創設に向けた検討会「ケアニーズに応じた支援等検討会(仮称)」を早急に設置するよう提案した。
児童養護施設の大舎制や小規模ユニットケアは5年後に向けて計画的に廃止することとし、今後は老朽化に伴う建て替え支援も即時停止すべきだとした。乳幼児の里親委託率75%以上を確実に達成させるため、乳児院の機能転換に向けた強力なインセンティブ導入も提言した。加えて、両施設に関する児童福祉法の文言を「新しい社会的養育ビジョン」に沿って修正し、施設運営指針の抜本的改正も求めた。