顔見知り増やそう 練馬区が若年女性の居場所開設
2025年06月05日 福祉新聞編集部
東京都練馬区は今年度、10代、20代の女性を対象とした居場所事業を始めた。毎月第3水曜日の午後、おやつや飲み物、食事を用意し、くつろげる場をつくる。困り事を抱えた若い女性が解決策を探す場ではなく、解決策を一緒に考えてくれる顔なじみを増やす場と位置付ける。
区の人権・男女共同参画課の職員と、この事業に協力する民間非営利団体の職員がそろって出迎える。区によると、若年女性に限定した居場所を自治体が運営する例は都内ではみられないという。
居場所の名称はフランス語で目印という意味の「まるく」。5月は区内の喫茶店を借りて午後3時から7時まで開いた。
集まったのは20代の女性4人。喫茶店の店主が振る舞うカレーライスやデザートを食べながら、体重が減ったこと、最近気になっていることなどをポツリポツリと語る。
利用は無料。奇数月の「まるく」は事前登録が必要だが、気軽に立ち寄れるよう住所や電話番号は記入不要とした。役所側から見れば「出張相談」だが、実際はたわいもない会話を楽しむ「女子会」のようだ。
新事業は2024年4月施行の「困難な問題を抱える女性支援法」に基づく区の基本計画に位置付けた。望まない妊娠や出産、性暴力被害など困り事を抱えても公的な支援を受けることをためらう女性は多い。
「相談」の手前で「顔見知り」ができれば相談窓口に出向く人も増え、困り事が大きな問題になるのを防げると区は判断した。区内の公立中高校、大学に「まるく」のリーフレットを配り、「7月からはLINE相談を週2日行う」(人権・男女共同参画課)と意気込んでいる。