お口を鍛えておく力

2022年1104 福祉新聞編集部

 口腔機能が衰えてくるとご飯を喉に送り込んだり(舌圧の低下)、上手にご飯をかめなくなったり(滑舌の低下)、固いものを食べられなくなって偏食になったり(咀嚼機能の低下)します。

 

 今回はいつまでも「健口」でいるために、口腔機能を維持・改善できる練習メニューを紹介します。

準備運動その1

 腹式呼吸で呼吸筋を鍛え、呼吸器官の働きを良くします。背筋を伸ばして行いましょう。鼻から大きく息を吸い込み、口をすぼめて大きくゆっくり吐きます。回数は10回が目安です。

準備運動その2

 首周りの筋肉がほぐれると口周りの筋肉もほぐれて動かしやすくなります。方法は、(1)左右に首を回して後ろを見るように左右に動かします(頸椎に問題のある方は行わないようにしてください)(2)正面を向いて肩に近づくように首を左右に傾けます(3)首を下向き上向きと動かします。回数はそれぞれ10回が目安です。

舌圧練習

 力を入れて舌を動かすことで舌圧を高めることができます。方法は、(1)舌で顎の先を触るつもりで伸ばします。(2)舌で鼻のあたまを触るつもりで伸ばします(3)舌を左右に伸ばします(4)唇と歯の間でぐるりと舌を動かします(5)舌を左の頬の内側に強く押しつけ、自分の指で舌の先を頬の上から押さえます。その部分を舌でゆっくり押しつけます=イラスト参照。

 

舌圧練習

滑舌練習

 早口言葉がお勧めです。口を大きく開けて行うことで口周りの筋肉をよく使うようになり、滑舌が良くなることに寄与します。短いものから長いものまで例を三つ紹介します。

 

 「あぶりカルビ」「高速増殖炉もんじゅ」「竹藪に竹立て掛けたのは竹立て掛けたかったから立て掛けた」

 

 長いとその分難しくなります。スピードを早めたり回数を多くしたりすることでも難しくなります。患者さんの状況に応じて何とか言える長さやスピード、回数にすると効果が高くなります。

咀嚼練習

 咀嚼機能を高めるには実際にかむ練習をすることが有効です。ガムや氷などが代表的で、5分程度かむことを続けるとかむ力の改善につながりやすいです。(口に食物を入れた際の反応が乏しい場合やかんだ後のガムや氷を吐き出せない患者さんには行わないでください)

 以上、具体的な練習メニューを紹介しました。口腔機能を維持・改善することで栄養をしっかりととれるようになり、食事を楽しめるようになります。患者さんができることから取り入れてみてください。

 

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