知的障害ある受刑者の社会復帰支援 長崎刑務所でモデル事業

2022年0812 福祉新聞編集部

 法務省は今年度、知的障害のある受刑者50人程度を長崎刑務所に収容し、社会復帰支援に向けた5カ年のモデル事業を始める。

 

 個別のアセスメントを通じて在所中の療育手帳取得などを支援し、出所後の就労についても中長期的に支える。

 

 罪に問われた障害者支援のあり方を考える「共生社会を創る愛の基金」(事務局=社会福祉法人南高愛隣会、長崎県)が7月30日に開いたオンラインシンポジウムで、モデル事業の概要を法務省幹部が明らかにした。モデル事業は南高愛隣会と連携して行う。

 

 障害特性に応じた支援がないまま出所すると、再犯する可能性が高いことがかねて指摘されていた。

 

 高齢で身寄りがない人、心身の障害によって住まいや就労先を見つけるのが困難な受刑者の社会復帰支援をめぐり、政府は2009年度から刑務所内外での支援体制を構築してきた。

 

 16年12月には再犯防止推進法が施行され、高齢、障害受刑者の支援は地方自治体も関与する形で展開されてきた。法務省はそのノウハウを長崎刑務所で整理して、さらに普及を図りたい考えだ。

 

 「愛の基金」は村木厚子・元厚生労働事務次官がえん罪事件で得た国家賠償金をもとに12年に発足。生きにくさを抱えて犯罪を繰り返す障害者らを支援するための研究や助成などに取り組んでいる。

 

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