官民会議が提言 保育人材確保へ集中対策(鹿児島・奄美市)
2025年01月23日 福祉新聞編集部保育人材の確保に向けて昨夏から協議を重ねてきた鹿児島県奄美市の官民連携会議(座長=吉村喜美代奄美看護福祉専門学校教諭)は昨年12月、市と市内保育施設向けの提言書をまとめた。2025~27年度の3カ年を集中対策期間とし、市と施設双方が就労環境の改善や人材確保に向けた取り組みを進めるよう求めた。
同市の保育を取り巻く状況をめぐって、保育量の見込みは0~2歳児を中心に増加が見込まれ、現時点で保育定員を減らす段階にはなく、保育ニーズへの充足が必要な状況。一方、保育士不足に悩む施設も多く、待機児童の発生や定員を充足できないなどの課題が生じている。
こうした中、保育園長や学識経験者、社会保険労務士、市担当課長ら13人による官民会議を昨年8月に設置。計5回の会合を開き、新規の人材確保のみならず、保育士が働きやすい環境づくりについて議論してきた。
提言書では、「保育施設の魅力向上」「目的を明確化した人材確保」を2本柱に据え、就労環境のアップデートや受け入れ定員確保のための人材確保など六つの対策を示した。
27年度までの3年間を集中対策期間に位置付け、集中対策を計画的に進めるための市と施設双方の道筋も提示した。各保育施設には課題改善に向けた目標を立ててもらい、これに対して市側は支援の方策を検討していく。
また、外部人材の活用▽職業病対策などの健康経営的視点の導入▽事務作業のDX(デジタルトランスフォーメーション)化などの取り組み例や、施設給付費における主な加算を確認するためのチェックシートも添えた。
9日に市役所を訪れた吉村座長は、安田壮平市長と、市内14保育施設代表の加世田勇氏(社会福祉法人真正会朝仁保育園長)に提言書を提出した。提言書は市内の全保育施設に配布される予定だ。