年収400万で月650円負担 こども家庭庁が子育て支援金を試算

2024年0420 福祉新聞編集部

こども家庭庁は9日、少子化対策に向けた子ども・子育て支援金の徴収額について、年収別の負担額の試算を公表した。雇用されている場合、2028年度から年収400万円で月650円負担することになるという。

政府が示す新たな少子化対策では、年3兆6000億円の追加財源を確保する方針。そのうちの1兆円を医療保険に上乗せして徴収する支援金で賄う。26年度から徴収を始め、28年度まで段階的に増やす予定だ。

同庁の試算によると、28年度の徴収額は年収200万円が月350円▽400万円が月650円▽600万円が月1000円▽800万円が月1350円▽1000万円が月1650円。

同日の会見で加藤鮎子こども政策担当大臣は「国会審議で求められ、機械的に計算した。議論に役立ててもらえれば」と語った。

参考人質疑も

同日の衆院特別委員会では、遠藤久夫・学習院大学長、秋田喜代美・東京大名誉教授、西沢和彦・日本総合研究所理事らが出席し、参考人質疑を行った。

遠藤学長は政府が掲げる少子化対策について、賃上げの推進や非正規労働者の雇用安定など所得政策を補完的に進めることも大切だと指摘。「少子化対策に特効薬はない」と強調し、迅速に導入して中長期的にPDCA(計画、実行、評価、改善)を回し、効果を高めるべきだと訴えた。

医療保険から徴収することについては、算定の際に低所得者への配慮があることも一定の合理性を持つと説明した。その上で「新たな仕組みを構築するのは社会的コストが掛かる。時間との勝負を考えると既存制度で最も適している」と述べた。

また、秋田教授は支援金制度について「こどものための目的財源であり、企業や高齢者も出す。子育ての社会化に向けた財政面の改革だ」と評価。「社会全体で子育て世代が応援され、将来は応援する側に回る。支援金は世代を超えた連帯の意義があると広く伝えることが重要だ」と話した。

一方、西沢理事は「今回、理論的に正当化されない財源を投入しようとしているのは消費税を封印しているからだ」と訴えた。「本来、支援金は税なのに、社会保険料と言い繕う。家計と企業に負担が生じるのに、実質的な負担はないと言う。すべてが詭弁だ」と批判した。