こども性暴力防止法 採用時に犯罪歴確認へ 政府、今国会での成立目指す

2024年0326 福祉新聞編集部

政府は19日の閣議で、こどもと接する仕事をする人の性犯罪歴の有無を確認する「こども性暴力防止法案」を決定した。児童養護施設や保育所、障害児施設などは職員採用の際、こども家庭庁のシステムを通じて照会することが義務になる。

 

性犯罪歴がある場合、事業者はこどもの安全を守るため採用しない。現職者も確認の対象で、犯罪歴があれば、こどもと接触しない仕事に配置転換する。政府は今国会での成立を目指す。成立すれば、公布から2年半以内に施行される。

 

加藤鮎子こども政策担当大臣は同日の会見で「社会全体でこどもを性暴力から守る意識を高める観点で大変重要な法案だ」と述べた。

 

法案は英国の前歴開示・前歴者就業制限機構の頭文字を取って「日本版DBS法案」とも呼ばれる。

 

求職者らの犯歴を確認する際、事業者がこども家庭庁に申請する。同庁は法務大臣に照会し、犯歴がない場合はその旨が事業者に通知される。

 

犯歴があれば本人に告知される。所定の期間内に本人が内定辞退をしない場合は、犯歴を示す書類が事業者に交付される。情報漏えいした事業者には罰則を設ける。

 

対象となる性犯罪の種類は、有罪判決が確定した「前科」のほか、痴漢や盗撮など条例違反も含む。照会期間は拘禁刑(懲役と禁錮両刑を2025年に一元化)が刑の執行終了から20年、罰金以下は10年。

 

政府は昨秋の臨時国会に法案提出する予定だったが、義務化の対象が狭いとする異論を受けて先送りした。今国会の提出予定法案リストにも入れていなかった。