こども性暴力防止法、性犯罪歴の有無確認 年内にガイドライン策定
2025年07月08日 福祉新聞編集部
こどもと接する仕事をする人の性犯罪歴の有無を確認する「こども性暴力防止法」の施行に向け、運用ガイドラインについて議論するこども家庭庁の有識者検討会(座長=内田貴東京大名誉教授)は6月30日、中間取りまとめの素案を大筋で了承した。法の施行期限は2026年12月25日となっており、今後、こどもの意見聴取や事業者からのヒアリングを経て、秋に中間取りまとめを行い、年内にガイドラインなどを策定する予定だ。
性犯罪歴の確認が義務付けられるのは、小中高校▽認可保育所▽児童養護施設▽母子生活支援施設▽児童自立支援施設▽障害児入所施設など。教員や保育士ら常にこどもと接する職種が対象となり、事務員や実習生、送迎バス運転手は現場判断で対象にできる。
また、学習塾や認可外保育施設などの民間事業者には任意の認定制度を設ける。認定を受けると信頼の証として国の認定マークを掲げることができる。
性犯罪歴については新規採用や配置転換の際、内定、内示から従事開始までに確認する。拘禁刑の場合は刑の執行終了から20年が確認対象となる。
特例として合併や事業譲渡など組織変更の場合は従事開始から6カ月以内に確認し、確認までの間は原則こどもと一対一にさせないなどの措置を求める。現職者は義務事業で法施行から3年以内、認定事業で認定から1年以内が確認期限となる。
性犯罪歴が確認された場合、新規採用は内定取り消しなど、現職者は配置転換や業務範囲の限定などの防止措置を講じる。
また、性暴力の未然防止に向け、防犯システムの活用も有効だとし、個人のプライバシーや現場を萎縮させないことにも配慮しながら関係者間で協議して運用ルールを定めることが重要だとした。
この日、小学校の教員が児童を盗撮しSNSで盗撮画像などを共有した事件を踏まえ、委員は素案について意見交換。「学校で私用カメラの使用を認めないルールが必要」「認定を受けていない事業所に(性犯罪歴のある人が)流れないよう認定を積極的に受けてもらうための環境整備も大事」などの意見が上がった。