こども家庭審議会がこども大綱を答申 今後5年の方向性を定める

2023年1211 福祉新聞編集部

こども家庭審議会(会長=秋田喜代美・東京大名誉教授)は1日、加藤鮎子・こども政策担当大臣に対して、今後5年のこども政策の方向性を定めるこども大綱などを答申した。これを受け、政府は12月中に正式な大綱をまとめる予定だ。

 

審議会の秋田会長は、若者当事者の委員らとともに同庁を訪れ、加藤大臣に直接答申を提出。加藤大臣は「こどもや子育て当事者の声が入った大変重たい答申。しっかり受け止めたい」と話した。

 

答申は、同庁創設前に内閣府が策定していた少子化社会対策大綱など3大綱も統合したもの。こどもまんなか社会の実現を掲げ、ライフステージを通して行うべき重要事項を示している。また「誕生前から幼児期」「学童期・思春期」「青年期」といったライフステージ別に重要事項も示した。

 

一方で、大綱は5年の間に達成すべき具体的な数値目標を設定する点を強調。当事者にとっても分かりやすいものにするという。

 

今後、政府は岸田文雄首相を会長とする、こども政策推進会議で議論する。具体的に取り組む施策を「こどもまんなか実行計画」として取りまとめる。

ビジョンと指針も

同時に審議会は、こどもに関する育ちのビジョンと、居場所づくりの指針についても提出した。

 

「幼児期までのこどもの育ちに係る基本的なヴィジョン」は施設利用の有無を問わず、すべてのこどものウェルビーイング向上を目指す羅針盤。具体的には「誕生前から切れ目なく育ちを支える」など基本的な視点を五つの柱に整理し、留意点を示している。幼児教育、保育施設の指針や要領はこのビジョンを踏まえて改訂することにしている。

 

一方、「こどもの居場所づくりに関する指針」は、オンライン空間も含めた多様な形態を想定し、こども若者主体の居場所づくりを進めると訴えた。

 

福祉施設などの地域資源を活用して居場所の数を増やすことに加え、既存の居場所支援など質の担保にも官民連携で取り組むという。民間団体や学校、国、自治体などの役割も明記した。