元利用者がボランティアでサポート 子育て支援拠点「げんきひろば」(宇治市)

2023年1102 福祉新聞編集部
熊澤さん親子に読み聞かせをする小暮さん(左)

京都府宇治市の社会福祉法人宇治福祉園が、市から委託を受けて運営する子育て支援拠点施設「げんきひろば」で、かつての利用者らが2年ほど前から、こどもたちに絵本の読み聞かせなどのボランティアを行っている。少子化対策として、国の地域子育て支援拠点事業が始まって30年。元利用者らのサポートは、「地域で子育て」の活動を充実させ、子育て世代間の絆も強めている。

 

「げんきひろば」はJR宇治駅前の市民交流プラザ「ゆめりあうじ」の3階にある。日々、50人以上の未就学児とその親らが無料で利用している。

 

リサイクル素材を使ったおもちゃ作りや絵本を楽しめるほか、保育士資格などを持つスタッフに気軽に子育て相談もできる。

 

スタッフに交じって絵本の読み聞かせなどをしているのが、小学1年生の娘を持つ絵本講師の小暮えりなさん(38)と、2歳児の長女を持つ熊澤真理菜さん(35)。小暮さんは娘が生まれたばかりのころから「げんきひろば」を利用した。当時を振り返り、「ここに来ると、こどもと一対一の関係から解放され、ほっとできた」と話す。

 

その恩返しとして2021年から始めたのが、絵本の読み聞かせ。子育てをするなかで、絵本の読み聞かせにより「こどもとのスキンシップなどが増える」と気付き、新米ママらにもその楽しさを伝えたいと思ったからだ。

 

兵庫県芦屋市のNPO法人「絵本で子育て」センターの絵本講師資格を取得。「げんきひろば」で2カ月に1回、読み聞かせのボランティアを始め、毎回15~20組の親子が参加している。

 

元小学校教諭の熊澤さんは海外で働いた経験を生かし、英語の絵本の読み聞かせや手遊びを行っている。「げんきひろば」の利用は長女が生まれた2年ほど前からで、「スタッフに話を聞いてもらうだけで救われた」。

 

そのこともあって、ボランティアでの活動をスタッフに提案。宇治福祉園の泉亜希主幹保育教諭は「一緒に楽しいことができる」と大歓迎。昨年から2カ月に1回ほどのペースで、多くのこどもたちに英語のリズムを感じてもらっている。

 

「げんきひろば」は気軽に遊びに来られる場所だが、多くの親は少なからず子育てに悩みや不安を抱えている。時には、「このままでは手を上げてしまいそう」と話す親もおり、そういったケースは保育所の一時保育事業を紹介するなど関係機関につないでいる。

 

大槻優紀センター長は「悩みが深刻化しないようにするのが支援拠点の役割。絵本の読み聞かせなどで多くの人に関わってもらえることは、とてもありがたい」と話し、今後も元利用者らの活動に門戸を開放し、「地域で子育て」の充実を目指していく。

 

地域子育て支援拠点=子育て中の親子の孤立「ワンオペ育児」が社会問題となるなか、0~3歳児を中心とした未就学児の親子を対象に1993年度に始まった。市町村が実施主体となるが、社会福祉法人やNPO法人などに運営を委託しているケースが多い。気軽に立ち寄れて、常駐の保育士らに悩み事を相談することもできる。人口約17万人の宇治市は2003年春から事業を始め、市内に10カ所の拠点がある。宇治福祉園への委託は20年10月、委託料は年間600万円。