居場所づくり指針の答申案 福祉施設、社協活用も〈こども家庭庁〉
2023年10月07日 福祉新聞編集部こども家庭庁のこども家庭審議会が9月25日開かれ、こどもの居場所づくりに関する指針の答申素案が示された。居場所を整備するにあたり、既存の地域資源を活用することも有効だとし、高齢者や障害者向けの社会福祉施設、社会福祉協議会などを例示した。
岸田文雄首相からの諮問を受け、審議会の「こどもの居場所部会」で指針策定に向け議論を重ねている。こどもの主体性を大切にした居場所づくりにつなげるため、対面とアンケートでこどもからの意見聴取も実施した。
素案では社会構造の変化などを受け、こども・若者が地域コミュニティーの中で育つことが困難になっていると指摘。居場所は生きていく上で不可欠なもので、ないことは「孤独・孤立の問題と深く関係する重大な問題」だとした。
「こども・若者が過ごす場所、時間、人との関係性すべてが居場所になりえる」とし、物理的な場に限らず、「遊びや体験活動、オンライン空間」も対象に含めた。一方、居場所が十分に整備されていない現状があるとの認識を示し、こども・若者のニーズを踏まえた多様な居場所を確保していく必要性を強調した。
居場所づくりを進めるための基本的な視点を「ふやす」「つなぐ」「みがく」「ふりかえる」――の四つの柱で整理。「ふやす」では地域資源の活用などで数を増やすだけでなく、既存の居場所を支えるための支援や災害時に居場所を確保することの重要性も説いた。
「ふりかえる」では指針策定後、国が居場所での活動を測るための指標を検討することとした。改善や透明性の向上が狙いだが、検証がかえって多様性や創造性を損なうことのないよう留意が必要だとした。
現在、素案のパブリックコメントを受け付けている。指針は年内に閣議決定する予定だ。