旧優生保護法問題、全面解決へ初の協議 被害者側が国に要望書
2025年04月09日 福祉新聞編集部
旧優生保護法問題の全面解決に向けた、被害者側と国による協議の初会合が3月27日、こども家庭庁で開かれた。被害者側から補償法に基づくすべての被害者への補償や、二度と同じ過ちを繰り返さないよう恒久対策の実施などを求める要請書が提出された。協議の結果、課題に応じて議論を進めるため、三つの作業部会を設けることで合意した。
障害者らに不妊手術を強制した旧優生保護法を違憲とした昨年7月の最高裁判決を受けて、同9月に被害者側と国が締結した基本合意で、定期的な協議の場を設けることが明記されていた。
会合には国側から、こども家庭庁、厚生労働、文部科学、法務省の政務三役が出席。三原じゅん子こども政策担当大臣は「全面解決に向けて引き続き全力で取り組んでいく」と述べた。被害者の北三郎さん(仮名)は「今日がスタートの日。優生保護法がつくった歴史に向き合い、差別のない社会をつくってほしい」と訴えた。
要請書では、国の責任のもと、すべての被害者に謝罪と補償を届けるべく、相談窓口の整備や、所在が分かっている被害者への個別通知の実施などを求めた。偏見差別の根絶に向けた立法措置や、教育・啓発の充実も要望。各施策の具体化に向けて「被害者の被害回復」「人権教育・啓発」「偏見差別の根絶」の三つの作業部会を設けることも要請した。
被害者側は「互いに知恵を出し合い、進めていきたい。そのためには国が加害者という意識を持つことが大切」と強調した。