改正旅館業法施行、厚労省が拒否不可の事例明示 障害特性に留意を

2023年1224 福祉新聞編集部
特設サイト

旅館やホテルで迷惑行為や過重なサービスの要求などを繰り返す客の宿泊を拒否することを可能にする改正旅館業法が13日、施行されたことを受け、厚生労働省は改正内容を説明する特設サイトを立ち上げた。

 

宿泊料の不当な割引きを求められた場合など施設側が拒否できる具体例をまとめた一方、障害者が不当な扱いを受けないよう宿泊拒否できない事例を示し、相談窓口の一覧も掲載した。

 

宿泊拒否できない例としては(1)フロントで筆談を求める(2)視覚障害者が部屋までの誘導を求める(3)精神障害者が静穏な環境の部屋の提供を求める(4)発達障害者が空調や音響の設定の変更を求める――などを挙げた。

 

また、宿泊予約の際、事前に障害について申告するよう旅館側が求めることは差別に当たらないが、事前申告しなかったことのみを理由に宿泊拒否するのは差別に当たるとした。

 

このほか、特設サイトには旅館が従業員に研修する際のパンフレットなどを掲載した。法改正の背景や宿泊拒否に関する留意事項などをまとめた動画はユーチューブにアップした。

 

旅館業法は宿泊拒否を禁じているが、今年6月に成立した改正法により、従業員の負担が過重となるような要求を繰り返す迷惑客については、例外として宿泊を拒むことが可能になった。

 

一方、障害者団体からは、「事業者の判断で障害者が排除されかねない」とする不安の声が続出。国会の付帯決議も障害を理由とする宿泊拒否はできないことを明記した。

 

これを踏まえて厚労省は検討会を立ち上げ、旅館向けの指針作りを進めていた。

 

改正旅館業法特設サイト|厚生労働省