疾病ごとの発症リスクを注意喚起 厚労省検討会が飲酒ガイドライン最終案

2023年1206 福祉新聞編集部

厚生労働省は11月22日、飲酒に伴う健康リスクを分かりやすく示すガイドライン(指針)を作る有識者検討会(座長=松下幸生・久里浜医療センター院長)に最終案を示し、了承を得た。飲み物の量ではなく純アルコール摂取量に着目し、その摂取量を継続した場合の発症リスクを疾病ごとに示した。

 

今後、意見募集を経て今年度中に決定し、全国の自治体に通知することで、過剰な飲酒を控えるよう国民に注意喚起する。厚労省が飲酒と健康に関する指針を作るのは初めて。

 

注意喚起の例として、大腸がんは男女とも1週間に摂取する純アルコール量が150グラム(1日当たり約20グラム)を超えると発症の可能性が上がるとした。

 

このほか脳卒中、肝がんなどについても、海外の文献をもとに純アルコール量と発症リスクの関係を男女別に示した。諸外国の飲酒指針に記載された純アルコール量も参考値として添付した。

 

今年9月の原案は生活習慣病のリスクを高める数値として、「1日当たりの純アルコール摂取量が男性40グラム以上、女性20グラム以上」としたが、これを下回る量ならば飲んでも構わないという誤解を招くとする懸念の声が上がっていた。

 

最終案は「男性40グラム以上、女性20グラム以上」という記述は残しつつ、疾病ごとに危険な純アルコール量を示し、安易に摂取しないよう注意喚起した。厚労省によると、純アルコール20グラムはアルコール度数5%のビールなら500ミリリットル、同7%の酎ハイであれば350ミリリットルに当たる。

 

飲酒指針は政府の第2期アルコール健康障害対策推進基本計画(2021年度からの5カ年)に基づいて第2期中に作ることになっている。