全社協が基本要項を33年ぶりに改定 新たに「使命」を明記

2025年0413 福祉新聞編集部

全国社会福祉協議会は3月31日までに、社協活動の指針となる基本要項2025を策定した。新たに社協の使命として、地域の関係者と協働して「ともに生きる豊かな地域社会」を創造することを明記。また、社協の機能に災害時の支援や地域福祉の財源確保などを追加した。要項の改定は33年ぶり。

改定に向けて全社協は23年8月、香川県琴平町社協の越智和子会長をトップとする委員会を立ち上げ、12回にわたり議論。この間、全国3カ所でフォーラムも開くなど全国の社協職員も巻き込み、意見を積み上げてきた。

社協の使命として掲げた「ともに生きる豊かな地域社会」は全社協が20年に策定した「福祉ビジョン」に盛り込まれた理念。住民の協働により、社会から孤立せずにその人らしい生活を送ることができる社会を目指すという意味が込められている。

一方、1962年と92年に策定した要項で掲げた「住民主体」の考え方については引き続き継承した。社協の事業は、公的サービスの補完ではなく、住民の意思を尊重すべきと強調。また、価値観の多様化も踏まえ、あらゆる関係者との連携が求められるとした。

活動原則については5項目から6項目に増やした。従来の住民ニーズ基本の原則や専門性の原則などは踏襲。新たに、個別支援と地域づくりの一体的展開の原則を追加した。個人を支援する際に、地域の住民や団体も巻き込む意味を示す。

社協の機能については7項目から10項目に整理し、災害時の支援などを盛り込んだ。災害ボランティアセンターの運営などで実績もあり、災害時には福祉的な支援が必要な人が増えることから、新たに位置付けた。

同様に地域福祉の財源確保については、住民による助け合いを支えるため、官民の財源についての情報収集も盛り込んだ。

全国に市町村社協は約1800団体あり、職員は13万人に上る。今後、全社協は要項の解説冊子や動画を作成する予定。全社協は「要項を基に今後、地域で具体的な活動につながれば」と話す。

要項は50年に当時の日本社会事業協会、同胞援護会、全国民生委員連盟の3団体が策定。全社協は62年と92年に改定した。その後、市町村社協法制化40周年を契機として改定に着手した。

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