カマクラ派が絵画展 障害の有無問わず〈神奈川〉
2025年07月24日 福祉新聞編集部
神奈川県鎌倉市内で「エコール・ド・カマクラ」(カマクラ派)をタイトルに入れた初の絵画展が10日、始まった。出展した102人の画家は国籍、年齢、受賞歴、障害の有無は関係なく、鎌倉に縁のある「カマクラ派」だ。障害者が約半数だが、専門家が選考した受賞作品10点のうち9点は障害者の作品だ。
就労継続支援B型事業所「道工房」を運営するNPO法人道(岩立実勇理事長、同市)が発起人となった実行委員会が主催。市も後援し市長賞を設けた。岩立さんは「障害者の作品に対する先入観をなくし、公平に鑑賞してほしい」と話す。
「カマクラ派」は、20世紀前半にフランスのセーヌ川の右岸と左岸で活動した、出身も画風も異なる画家たちが「エコール・ド・パリ」(パリ派)と呼ばれたのにちなんだ。
今回の展示会場は二つある。一つはJR鎌倉駅の東側、鶴岡八幡宮の近くにある画廊「道ギャラリー」で、NPO法人道が所有している。もう一つは駅西側の銭洗弁財天近くにある喫茶店「佐助カフェ」の画廊。
日ごろから地元の画家の展示の場としていた佐助カフェ店主の島崎亮平さんは「障害者の作品かどうか区別する意味がない」と感じていた。うわさを聞き付けた岩立さんとはすぐに意気投合した。
東京藝術大名誉教授の関出さんら3人の委員が10点の受賞作品を選ぶ際も、画家の氏名や経歴は伏せた。展示会場でも氏名以外は画家について何も示していない。
大賞に輝いたのは知的障害のあるyuさん(ペンネーム、35)で、3年前から道工房に通う。創作に没頭する日々を「楽しい」と話す。受賞作品については「にぎやかで楽しい雰囲気を出そうと思って描いた」という。
受賞した10点は記念切手の絵柄になり、300セットが佐助カフェなどで限定販売される。展示は8月11日までの午前11時~午後5時。火曜日と水曜日は休廊。観覧は無料。9月16~20日、東京・銀座の「WABIギャラリー」でも展示される。