特別支援教育の議論開始 自立活動充実など論点〈文科省〉

2025年1021 福祉新聞編集部

小中高校の教育内容の基準となる学習指導要領の改訂に向けた議論を進めている文部科学省は9日、特別支援教育ワーキンググループ(主査=清原慶子杏林大客員教授)の初会合を開いた。障害の社会モデルを踏まえた整備、合理的配慮の提供、自立活動(障害による困難さの改善などを目的とする指導)の充実など、多岐にわたる論点が示された。

冒頭、今村聡子文科戦略官は「障害のある子とない子が可能な限り、ともに学ぶインクルーシブ教育システムの確立に向け、障害のある子に対する学習指導の充実について活発に議論してほしい」と述べた。

学習指導要領は約10年ごとに改訂される。2024年12月に文科大臣の諮問を受けた中央教育審議会が議論を始め、25年9月に中教審の下に設置された特別部会が基本的方向性を「深い学びの実装」「多様性の包摂」「実現可能性の確保」に整理した。それを踏まえ、専門的な検討を行う10を超えるWGが設けられた。特別支援教育WGは今後、月1回程度開かれ、26年夏ごろまでに議論をまとめる。

現在、障害のあるこどもの学びの場は▽通常の学級▽通級による指導(約20万3400人)▽特別支援学級(約39万4800人)▽特別支援学校(約15万5100人)がある。

例えば通級による指導では、20年間で児童生徒が5・6倍になり、特に発達、情緒障害のある児童生徒が増える中、個々の状態に合った対応が十分でないことが課題となっている。また、個別の指導計画に適切な目標が設定されていないなど、特別支援教育全体に共通する課題もある。

特別支援教育WGの委員は19人。同日は教諭の資質向上や専門性の育成のほか、デジタル学習技術の活用、分かりやすい学習指導要領の策定などについて指摘があった。

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