虐待防止へ職員の支援スキル育成を 障害者施設を追加調査〈厚労省〉

2025年0824 福祉新聞編集部

厚生労働省は、夜間の介助もある障害者支援施設、グループホーム、療養介護について、より実効性のある虐待防止策を検討するため、2023年度の虐待事例を対象に追加調査を行い、報告書にまとめた。

施設では勤務年数の長い職員による虐待が一定数あり、被虐待者の6割に何らかの行動障害があることから、対策として研修をより充実させて、強度行動障害への支援を含めた高度なスキルを持つ職員の育成が望まれるとした。

調査は24年12月~25年1月に実施。都道府県に調査票を配布し、施設については23年度に虐待があった155件について回答を得た(回答割合は不明や無回答を除いた数値)。

施設の運営主体はすべて社会福祉法人。虐待発生時から、おおむね過去1年間の虐待防止研修の状況は「非常勤(委託職員除く)を含めて実施」が53%、「全常勤を対象に実施」が32%だった。

虐待者の75%が男性で、職種は81%が生活支援員。勤務形態は81%が正規だった。勤務年数は「1~4年」が40%、「5~9年」が32%で多いが、「10年以上」も27%あった。研修を受講していた人は88%だった。

一方、被虐待者の障害種別(複数回答)は、知的障害が92%で突出して多い。強い行動障害を含めて何らかの行動障害のある人が76%を占めた。日中活動などでの外部法人のサービスについて「利用なし」が96%だった。

また、居住支援の時間帯(帰宅から出勤まで)の虐待種別をみると、就寝時は前後の時間に比べて「性的虐待」が多かった。そのため報告書では、夜間は同性介助や複数職員による対応といった対策を検討する必要があるとしている。

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