ピアサポ文化を育もう 「メンタルヘルス共創拠点ピアウェル」設立記念集会〈横浜〉
2025年12月05日 福祉新聞編集部
精神疾患を経験した人や、その支援者らがそれぞれの経験を持ち寄って住みやすい社会をつくろうという非営利団体がこのほど、横浜市内で発足した。11月16日に市内で設立記念集会を開いた。
交流や学びの場を設けることによって、埋もれがちな個々人の思いをすくい取って発信する。発足したのは「NPO法人メンタルヘルス共創拠点ピアウェル」。精神疾患を経験した人や精神科医、作業療法士、元行政職員らが理事に就いた。
代表理事は双極症当事者の加藤伸輔さん(50)。デイケアで出会った仲間との語らいが、その後の回復につながった経験からピアサポートに関心を持ち、現在は支援者や講師、さらには研究者として各地を駆け回る。
ピアサポートは障害福祉制度にも一部採用されており、近年、話題になることも増えた。加藤さんは設立集会で「ピアサポートを一過性のブームではなく、文化として根付かせたい」と抱負を語った。
人口377万人の横浜市は、医療施設や福祉施設を利用する人による任意の団体が数多くあるものの、必ずしも横のつながりを持つわけではない。
疾患や障害の種類・有無にかかわらず、同じまちに暮らす人としてつながりを持ちながら未来を切り開こうというのが設立の狙いだ。
ピアサポートに関する著書を多数持つ、相川章子埼玉県立大教授は同日の集会で「これまで精神疾患を持つ患者は支援の客体とされがちだった」と解説。その上で、そうした歴史を塗り替える未来志向の活動を展開することに期待を寄せた。

