高次脳機能障害、支援状況公表して点検 法案概要固める〈超党派議連〉

2025年1201 福祉新聞編集部
あいさつする衛藤会長

超党派の「高次脳機能障害者の支援に関する議員連盟」(衛藤晟一会長)が11月19日に開かれ、高次脳機能障害者支援法案の概要を固めた。国、地方自治体が取り組んだ支援策を公表し、施策の実効性を点検する。都道府県に中核的役割を担う高次脳機能障害者支援センターを設置する。議連は議員立法により今臨時国会での成立を目指す。

高次脳機能障害は、脳卒中や事故などで脳が損傷し、注意障害、記憶障害、失語などの認定障害が生じる。推計で約23万人いるとされるが、外見上で判断しづらく、その障害特性の理解が進んでいないため、適切な支援を受けられず、生活に支障が生じている人も少なくない。

法案は、高次脳機能障害者の自立と社会参加の確保に向けて、社会的障壁をなくし、どの地域でも切れ目ない支援を適切に受けられることを基本理念とする。具体策として地域生活や教育、就労、権利擁護における支援、家族への支援、相談体制の整備を行う。国民への啓発、専門人材の確保に関する施策などにも取り組む。

現在も全国に約120カ所の高次脳機能障害の支援拠点はあるが、取り組みに地域差があるため、法案でセンターの設置を位置付け、プラットフォームとして相談や情報提供、専門的支援、連絡調整などを行う。

また、都道府県は高次脳機能障害の専門診断、治療、リハビリなどを行う医療機関の確保に努める。高次脳機能障害者や家族、学識者、医療、福祉などの関係機関が参加する地域協議会の設置も努力義務とする。

日本高次脳機能障害友の会の片岡保憲理事長は「尊厳ある生活を送れるよう、その基盤となる法律を10年以上求めてきた。センターがワンストップ機能を果たしてくれれば、生きづらさを感じるケースが少なくなる」と期待する。

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