障害者雇用代行ビジネスに指針 利用企業に報告求める〈厚労省案〉

2025年1206 福祉新聞編集部
障害者雇用ビジネスについて議論した

企業にサテライトオフィスなどを貸し、そこで働く障害者の採用や雇用管理などを代行する「障害者雇用ビジネス」について、厚生労働省は指針を策定し、代行事業者に指針に沿った運営を求める。代行ビジネスを利用する企業には、障害者の業務内容や代行事業者の情報などについて報告を求め、不適切な事案があれば指導監督できるようにする。

1日の今後の障害者雇用促進制度の在り方に関する研究会(座長=山川隆一明治大教授)で、障害者雇用の質を高めていくための論点として示された。

厚労省によると、10月末時点で46の代行事業者がある。利用企業は1800社以上、働く障害者は1万1000人以上で、いずれも急増しているが、不適切な雇用管理が散見され、障害者の就労意欲も高まらず、企業が法定雇用率の達成のみを目的に利用していると問題視されている。

ただ、代行ビジネス自体は違法ではなく、事業者を許可制にすることも法制上難しいため、厚労省は指針を策定することで課題の是正を図っていく。

指針には障害者雇用に精通した資格者の配置や、利用企業に対して障害者の業務の成果を自社の事業に生かし、最終的に自社の就業場所での障害者雇用に移行するよう支援することなどを盛り込む。

また、企業には指針に沿った運用をしていない代行事業者は利用しないよう促す。

委員からは「代行事業者は企業が自社で障害者雇用できるよう支援すべき」「企業は一定期間内で障害者雇用のノウハウを習得し、代行ビジネスなしで障害者雇用できるようにすべき」といった趣旨の意見があった。障害者雇用ビジネスについて明確な定義がなく、実態把握も十分でないため、慎重な検討を求める発言もあった。

山川座長はさらなる議論につなげていくよう厚労省に指示した。

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