障害児・者の見守り支援体制構築を 当事者団体が厚労省などに要望
2025年08月18日 福祉新聞編集部
知的障害児・者の当事者団体「くわのこの会」(新島紫会長、東京都八王子市)は7月31日、障害児・者が行方不明になり、死亡事故も起きていることを社会課題と捉え、地域で障害児・者を見守る支援体制を構築するよう、厚生労働省とこども家庭庁に要望した。
同市では昨年、16歳の知的障害者が行方不明になり、命を落とす事故があった。こども家庭庁の調査では、2022年度に放課後等デイサービスなどの施設から障害児が行方不明になった事案が160件超起きている。
知的障害児・者の中には突発的に移動してしまう人がおり、自分の名前や状況を伝えるのが難しい人もいる。会員調査では「一時も目を離せず買い物もできない。生活は通販頼み」との声も寄せられ、家族は明日はわが子かもしれないと常に緊張を強いられている。また、障害者が行方不明になった際、自らの意思で外出した家出人として扱われ、積極的な捜索が行われないことも少なくない。
新島会長は「障害児・者の行方不明は家庭だけの問題ではない。本人が助けを求めることが難しいからこそ施設、交通機関、企業、警察など社会全体での見守り体制が必要」と訴えた。
要望では認知症高齢者の見守り・SOSネットワークの対象に障害児・者を含めることを提起。障害児・者の行方不明事案の実態調査、捜索が遅れる対応の是正も求めた。
伊藤優子副会長は「今日も1人で外をさまよう障害児・者がいて、必死に探し続ける家族がいるかもしれない。命を守る仕組みを一刻も早く整えてほしい」と話した。