介護保険、現役世代の負担抑制を 財政審が建議まとめる

2025年0609 福祉新聞編集部

政府が策定する「骨太の方針」を前に、財務省の財政制度等審議会(会長=十倉雅和住友化学相談役)は5月27日、現役世代の保険料負担を最大限抑制することなどを盛り込んだ建議をまとめた。利用者に対して2割負担の対象拡大を求める一方、介護事業者には介護報酬を適正化して効率的なサービス提供を要望している。

建議は、診療報酬と介護報酬を1%引き上げると、現役世代の負担は3000億円程度増えると指摘。現在、政府が一丸となって取り組む賃上げに向け、若者や子育て世帯の消費を増やすためにも、給付の適正化や抑制を通じて保険料の上昇を最大限抑制する必要があると訴えている。

具体的に、費用の抑制にはICT(情報通信技術)機器の活用による人員配置の効率化や経営の大規模化など生産性の向上が喫緊の課題だと指摘。同時に、特別養護老人ホームにはサービスの質の評価を踏まえた人員配置基準の柔軟化に取り組むべきだとしている。

また、民間の人材紹介会社を活用する場合に高額な手数料を払っている状況があるとして、紹介会社の規制も盛り込んだ。手数料や人材の定着状況を踏まえて紹介会社を淘汰する仕組みを進める。

一方、利用者の負担割合の引き上げについても踏み込んだ。

制度創設時は一律1割だった負担は、現在一定以上の所得がある人は2割、現役並みの所得がある人は3割となっている。

建議は金融資産の保有状況なども踏まえ、2割負担となる対象者の範囲拡大を検討するよう提案。医療保険と同様に原則2割負担とすることや、3割負担の基準を見直すことにも言及した。

このほか、保険外サービスの活用についても指摘した。事業者には収益の多様化や経営基盤の強化につながり、職員の賃上げにも還元できると強調。これまでケアマネジャーが報酬を受けずに担ってきた書類作成や家事支援などを保険外サービスに位置付けることを挙げた。