児童への性暴力防止指針 教育、保育事業者に活用を〈こども家庭庁〉
2025年05月19日 福祉新聞編集部
こども家庭庁は、教育、保育事業者が従事者による児童への性暴力を防止できるよう、現場で活用できる横断指針をまとめ、ウェブサイトに掲載している。
これまで行政や団体がガイドラインなどを作成するケースはあったが、業界横断的に整理されたものはなかった。同庁は、児童への性暴力防止に向けた事業者、従事者、関係者による議論や、事業者による服務規律の作成、現場での自律的な取り組みなどで活用してほしいとしている。
横断指針では、教育、保育は児童に対して「支配性」「継続性」「閉鎖性」のある特別な関係になるため、性暴力の発生に特に注意する必要があると指摘。性暴力は重大な人権問題であり、適切に対応しないと経営リスクになることを、事業者が認識すべきだとしている。
その上で児童への性暴力を防止し、被害の疑いが生じた場合の対応について、全体像と大まかな流れを示し、具体的な内容と留意点を紹介している。
未然防止では児童、保護者への啓発、従事者研修など、早期発見に関しては児童との日ごろの会話、被害を訴えやすい仕組みなどについて詳説。相談、報告を受けた際の対応では、発覚時から被害児童の安全確保、事実確認、再発防止まで各段階での取り組みについて説明している。
2024年6月に成立した「こども性暴力防止法」は、教育、保育事業者に対し、従事者の児童への性暴力を防止する措置を講じることを義務付けており、今後の検討会で具体的に議論される。