子ども子育て事業の収入構造

2025年0330 福祉新聞編集部

1保育所と認定こども園

2006年に施行した子ども・子育て支援法のもとでは、従来ばらばらに行われていた保育所、認定こども園、幼稚園などに対する財政支援を施設型給付に一本化した。全国では、減少傾向にある保育所が2・2万園、増加傾向にある認定こども園が1万園あり、それぞれの主な相違は次のようにまとめられる。

(1)利用者(認定区分)

教育・保育を利用するこどもについては、三つの認定区分が設けられ、この区分に基づいて施設型給付等が行われる。2号認定は満3歳以上の小学校就学前のこどもであって、保護者の労働または疾病などの事由により家庭において必要な保育を受けることが困難であるもの、1号認定は満3歳以上の小学校就学前のこどもであって、2号認定のこども以外のものとされる。1号認定が対象か否かが大きな相違で認定こども園のほうが保育所より対象者が広い。3号認定は、満3歳未満の小学校就学前のこどもであって、保護者の労働または疾病などの事由により家庭において必要な保育を受けることが困難であるものとされる。

保育所と認定こども園

(2)公定価格

施設型給付の基本構造は、「認定区分(1号認定、2号認定、3号認定)」「保育必要量」「施設の所在する地域」などを勘案して、こども1人当たりの教育・保育に通常要する費用を基に、こども家庭庁告示として公表され、公定価格と言われている。

保育所が受け取る対価の性格は「委託費」とされる一方、認定こども園が受け取る対価の性格は「施設型給付費」とされる。対価の性格の違いは、繰越金、繰入金、積立金等に制約を受ける「委託費」と、制約を受けない「施設型給付費」といったように、支出面のマネジメントに影響する。また、利用者負担を市町村が徴収するのか施設が徴収するのかといった徴収プロセスにも影響する。

2保育所の収入構造

子ども・子育て事業の収入構造の説明として保育所を取り上げる。保育所の公定価格表は2024年度版で41ページにもおよび非常に細かく区分されている。保育所委託費の算定構造は(1)基本分単価プラス加算マイナス減算であり、基本部分に影響を与えるものは5項目ある。

保育所の収入構造

(1)定員区分

定員区分は「20人」区分から「171人以上」区分まで10人刻みで17区分も設定され非常に細やかな価格設定がされ、定員区分が大きくなるにつれ、すべての年齢区分において基本分単価は逓減する設定とされている。

(2)年齢区分

「0歳児」「1・2歳児」「3歳児」「4歳以上児」の4区分とされている。年齢区分が上がるにつれ、基本分単価は逓減する設定とされている。3歳児からは保育利用料が無償とされ、保育所にあっては3歳児の職員配置の要件を満たすと改善加算が行われるなど3歳児の年齢区分が利用数、収入に与えるインパクトは大きい。満3歳児は1号認定される年齢でもあることから、認定こども園の財務状況に与える影響の大きさを指摘する経営者もいる。

(3)保育標準時間と保育短時間

保育所にあっては、保護者のフルタイム勤務を想定した保育標準時間認定と、保護者がパートタイム勤務を想定した保育短時間認定のそれぞれに基本分単価が設定され、後者の単価は前者のそれより低く設定されている。

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