障害者が本格みそ作り 地場産業の復活目指す(埼玉)
2024年11月15日 福祉新聞編集部埼玉県川口市にある社会福祉法人ごきげんらいぶ(井出信男理事長)の多機能型事業所「らいぶ」(生活介護、就労継続支援B型)では、障害者が国産原料にこだわったみそを作っている。同市で江戸時代後期から盛んだった麦みそ作りを地場産業として復活させる取り組みでもある。
2013年開設の同事業所は本格的にみそ作りを行うため、専用の作業室と発酵室を設け、約1000万円かけて大型設備も整備した。作業室はガラス張りで開放感もある。
原料の大豆は埼玉県産で、煮ると旨味成分が逃げてしまうので蒸すことにこだわる。蒸した大豆に麹、塩、水を独自の配合で混ぜた後、たるに移し、半年から3年間、自然発酵させる。早く出荷するため室温を調整して短期間で発酵させるみそもあるが、同事業所はじっくり寝かすのが特長で、甘くコクがあり、香りも強いみそになる。
作業するのはB型の利用者5人。蒸した大豆をたるに移したり、計量やパック詰めをしたり、それぞれが適性に合った作業を自主的に行う。食品のため衛生面も徹底する。10年以上働いている今丸薫さんは「みそが売れるとうれしい。好きな物が買える」と話す。
商品名は「川口御成道味噌」。麦みそ、米みそ半年醸造、同3年醸造の3種類あり、いずれも400グラム入り600円。年間600キロ生産する時もある。企業と連携して「みそせんべい」「みそアイス」の6次産業化にも取り組む。
B型の工賃は平均2万5000円で、全国平均(約1万7000円)を上回る。法人では障害者の暮らしを支えるためグループホームをつくることも検討中。井出理事長は「社会福祉法人として地域を盛り立て、障害福祉を前進させていく責任がある」と話している。