建築費が過去最高に ユニット型特別養護老人ホームは10年で1.5倍に〈WAM〉
2025年07月28日 福祉新聞編集部
福祉医療機構(WAM)は22日、2024年度のユニット型特別養護老人ホームを新築で建設する際の平方メートル単価が38万円を超え、過去最高だったと発表した。10年前と比べると1・5倍となり、WAMは「福祉事業者の経営環境の悪化が指摘される状況で、上昇を続ける建設コストを賄うことは容易ではない」と警鐘を鳴らす。
ユニット型特養の建築工事費を延床面積で割った平方メートル単価の全国平均は、38万7000円と前年度より4万5000円増加。調査を開始した08年度以降で最高額となった。
地域別にみると、北海道・東北が44万8000円でトップ。首都圏39万6000円▽近畿37万5000円▽関東・甲信36万3000円▽中部・北陸34万7000円▽九州・沖縄32万2000円――と続いた。
また、定員1人当たりの建設費は、全国平均が1955万6000円で前年度より447万6000円上昇した。特に首都圏は2069万5000円と前年度から692万4000円上昇し、いずれも過去最高だった。
一方で、保育所の平方メートル単価は全国平均で47万3000円と前年度から4万5000円増えており、こちらも過去最高を更新した。
地域別では、北海道52万7000円▽首都圏52万6000円▽近畿、関東・甲信46万5000円。定員1人当たりの建設費は全国平均が402万4000円と前年度より34万5000円増え、過去最高を記録した。
結果についてWAMは「輸入材料費の高騰や輸送コストの増加、慢性的な人手不足など建設費を取り巻く厳しい局面が続いている」と分析。さらに24年度から建設業へ適用された時間外労働上限の規制により、今後も建設費が増える可能性を指摘する。
その上で、福祉事業者の経営が悪化する中で、建設コストを賄うのは容易ではないと強調。今後、建設コストや経営環境の変化を見据えた中長期的な資金計画の策定などが重要だと訴えている。