児童養護施設出身者を支援 空き家活用、家賃無料〈東京里山開拓団〉
2025年07月18日 福祉新聞編集部
児童養護施設出身者が家賃無料で住めるシェアハウス「まちごろりん新宿」が8日、東京都新宿区に開設された。NPO法人東京里山開拓団(堀崎茂代表、東京都)が展開する事業で、世田谷、豊島に次いで3例目。堀崎代表は「自ら行動する力を育んでもらうため、支援ではなく応援することを重視している」と話す。
まちごろりんは、空き家を児童養護施設出身者らが改修し、家電や家具は中古品を寄付してもらい、開設コストを抑える。生活習慣を身に付け、月1回の会議で生活状況や困り事を共有し、入所していた児童養護施設が専門的支援を担う。光熱水費などは自己負担で、退去時の資金とするため毎月一定額を積み立ててもらう。
まちごろりん新宿は木造2階建て。トイレ、バス、キッチンは共同。共有スペースもある。入居は2年間。定員は2人で、早速、自立援助ホームから20代の女性が入居した。
空き家は再開発予定地にあり、所有する住栄都市サービスから無償で借りている。「再開発工事が始まるまで空き家のままなので住んでもらった方が管理面でもよい。会社の社会貢献にもなる」(同社担当者)と企業側にもメリットがある。まちごろりんの開設にあたって公的支援は受けておらず、「民間の工夫と協力で児童養護施設出身者を応援できる社会モデルになる」と堀崎代表は言う。
まちごろりん豊島に1年以上住む20代の女性は「経済的にも精神的にも助かっている」と感謝する。取り組みをSNSで発信すると反響を呼んだ。
同法人は児童養護施設のこどもが荒れた山林を再生し、ふるさとをつくる活動もしている。空き家、荒れた山林を生かした取り組みは環境省などから表彰されている。