こども若者シェルター 有識者検討会、指針作成で初会合

2024年0625 福祉新聞編集部
シェルター検討会の様子

虐待などで家庭に居場所がないこどもや若者が必要な支援を受けながら宿泊できる「こども若者シェルター」をめぐり、こども家庭庁は運用に関するガイドラインを作成する。こども・若者の権利擁護や児童相談所など関係機関との連携の在り方などが論点。シェルターを運営するNPO、社会福祉法人やシェルター退所者、学識経験者らでつくる検討会が今年度中に取りまとめる。

一時保護や施設入所を望まないなど、社会的養護の枠組みで対応が難しい場合の新たな受け皿として、こども家庭庁は今年度「こども若者シェルター・相談支援事業」を始める。

東京・歌舞伎町の「トー横」、大阪・道頓堀にあるグリコの看板付近「グリ下」と呼ばれる場所などに若者が集まり、犯罪に巻き込まれる事案が相次いでいることが背景にある。

こども若者シェルターの実施主体は都道府県や児相を設置する市などで、社会福祉法人やNPOに運営を委託できる。補助額は1カ所当たり1758万円。心理カウンセリングや就労・修学支援、弁護士によるサポートを実施する場合は加算が付き、最大で4067万円となる。

保護者からの虐待などさまざまな理由で家庭に居場所がない10~20代が対象で、入所は2カ月程度まで。実施要綱によると、個室を原則としておおむね6人を受け入れる。職員配置はこども・若者支援に十分な経験を持つ管理者1人と支援員3人以上を配置することとしている。

ガイドライン作成に向けた有識者検討会の初会合が14日にあり、こども家庭庁は検討課題を示した。

説明事項と本人の利用の意思、同意の確認方法▽18歳未満のこどもが入所する際の親権者への対応▽携帯電話の取り扱いなど生活上のルール▽シェルターと、利用者の居住自治体が異なる場合の自治体間連携▽多くのシェルターが住所を非公開とする中、周知の方策と留意点――など論点は多岐にわたる。

検討会は民間シェルターへのヒアリングも実施し、来年3月ごろにガイドラインを完成させる予定だ。