「特別養子関係者の組織化を」 全国フォーラムで訴え

2024年0226 福祉新聞編集部
現状について話す石井さん(左から2人目)

特別養子縁組に関する全国フォーラムが17日、ビジョンセンター浜松町(東京都港区)で開かれ、養子や養親、支援団体などが参加した。こども家庭庁から補助を受けたイベント・レンジャーズの主催。参加者らは特別養子に関する支援の少なさを訴え、関係者の組織化を求める声が相次いだ。

 

特別養子は、さまざまな事情で生みの親と暮らせないこどもを実子と同様に受け入れる制度。1987年の民法改正で創設され、社会的養護に位置付けられている。

 

あっせんは児童相談所や、自治体から許可を受けた民間団体が担い、2020年度の成立は693件。政府は年1000件以上の成立を目指している。

 

今回フォーラムの実行委員には、特別養子の当事者や民間あっせん団体、乳児院などから9人が参加した。

 

実行委員で養親の石井敦さんは、特別養子の現状を説明した。全国組織がない背景について、地域によっては里親会が役割を担うなど格差があり、あっせんルートも二つあることなどを指摘。「里親とは異なり、特別養子への公的支援は進んでいない。物心両面で支援が必要」と訴えた。

 

具体的には発達や医療に関する支援ニーズがあると指摘。施設出身者のような手厚い奨学金もないことなどを課題に挙げた。

 

フォーラムでは参加者から「定期的な情報交換が大切」「児相対応に差があるので、事例を共有したい」「ネット上で悩みが相談できれば」など交流を求める声が相次いだ。

 

また、実行委員でもある躯川恒・かのや乳児院施設長は、全国乳児福祉協議会の活動を紹介し、他団体との連携が重要だと訴えた。

 

同様に国内初の特別養子当事者団体「Origin」のみそぎ(仮名)代表は立ち上げの経緯などを話し、支援団体も受け入れるコミュニティーが必要との認識を示した。

 

最後に実行委員からLINEを活用したオープンチャットの開設を提案。参加者から合意を得た。

 

フォーラムは厚生労働省の補助事業として昨年度オンラインで初めて実施。今年度からこども家庭庁の事業となり、対面でも初開催した。