乳児院の定数削減迫る 社会的養育推進計画の要領案を議連で議論

2024年0215 福祉新聞編集部
会合で話す長島会長

超党派の国会議員で構成する「児童虐待から子どもを守る議員の会」(長島昭久会長)は1日、都道府県社会的養育推進計画の策定要領案について議論した。乳児院について従来の入所措置機関としての役割は終わったと強調し、今ある乳児院の定数削減計画を盛り込むよう求めた。

 

こども家庭庁が示した要領案は、今後、乳児院は在宅も含めて総合的に支援する社会資源として、機能展開を図る必要があると指摘。具体的には妊産婦への支援や親子関係再構築支援、里親支援などの事業を積極的に活用するよう求めた。

 

これに対し議連は、乳児院は従来の入所措置機関としての役割は終わったと指摘。長島会長は、総合支援機関を目指して、乳児院の新設禁止や、既存乳児院の定数削減計画を盛り込むよう求め「これでは惰性で乳児院が残る。廃止しろと言っているわけではないが、もっとシャープに書き込むべき」と述べた。

 

小松秀夫・支援局家庭福祉課長は乳児院の機能転換については同調。しかし、新設禁止や定数削減については「地域によっては乳児院を造る状況が発生するかもしれない。現時点では国としてその芽をつぶすことはできない」と説明した。また「現場では入所機能と親子関係支援をセットでやるときがある。入所機能をなくし、機能転換して十分な支援ができるかは現時点では疑問。入所機能の役割を終えるのは、なかなか難しい」と語った。

 

このほか策定要領案は、里親等委託率の目標設定について乳幼児が75%、学童期以降が50%とするなど年齢区分別の目標設定を求めた。

 

これに対し議連は「目標が100%でないのは遺憾。表現は悪いが、国が責任を持って自治体にむちをあててほしい」と要望。小松課長は「すべての自治体に100%を目指せというのは現実的ではないのではないか」と理解を求めた。