里親等委託率の目標、再び 次期策定要領が判明(こども家庭庁)

2023年1220 福祉新聞編集部

こども家庭庁は7日、次期都道府県社会的養育推進計画の策定要領案について発表した。現行と同様の里親等委託率に関する目標を掲げた上で、家庭養育を進める方針。これに対し、国会議員からは「同じ目標を掲げるのは後退だ」として、次期策定要領では3歳未満の里親等委託率の目標を100%にするよう求める声も出た。

 

策定要領案は同日開かれた超党派の国会議員で構成する「児童虐待から子どもを守る議員の会」(長島昭久会長)で、こども家庭庁が明らかにした。

 

推進計画は社会的養育の体制について都道府県などが策定する。2020~24年度と25~29年度の2期制で、前期では「施設の小規模化」「里親委託推進」など11項目を記載するよう規定している。

 

具体的には里親等委託率について国として(1)5年以内に3歳未満は75%以上(2)7年以内に3歳から就学前は75%以上(3)10年以内に学童期以降は50%以上――という目標を掲げ、自治体には数値目標と達成期限を設定するよう求めていた。

 

だが、最新の調査では、22年3月時点で3歳未満が25%、3歳から就学前が31%、学童期以降が22%。全体の平均は24%にとどまっており、「低迷している」(こども家庭庁)のが現状だ。

 

これを受けこども家庭庁は次期策定要領で、改めて国以上の数値目標を定めるよう要請する。同時に、乳児院に長期で入所しているこどもについては、原則里親などへの措置変更を検討することを盛り込んだ。自治体には里親の支援や普及を担う里親支援センターをつくるよう求める。

 

一方、児童養護施設や乳児院に対しては、改めて5年程度で地域分散化や機能転換に向けた計画を人材育成も含めて策定するよう規定する。家庭支援事業を施設にどの程度委託しているかが多機能化に向けた重要な指標となるとして、市区町村に対して積極的な施設活用を促す。

 

こうした策定要領案について議連からは「法改正の趣旨を忘れている」として、修正を求める声が出ている。